自分に厳しく自分に優しく

仕事や勉強をある程度頑張ると、「今日はこれで十分」と感じてしまうことはありませんか。
これは心理学で「セルフライセンシング(自己免罪)」と呼ばれ、過去の努力を根拠にして自分を甘やかす現象です。
例えば「平日ハードワークを乗り切ったから、週末は好き放題食べてもOK」と考えたり、「少し勉強したから、今夜は夜更かししても問題ないだろう」といった行動に心当たりがある方も多いはずです。
まずはこの心理を理解して、無理なくセルフコントロールを図り、人生を好転させる方法を考えていきましょう。
なぜセルフライセンシングが起こるのか
セルフライセンシングの仕組み
人間は「良い行動をした」という心理的実績によって、その後の行動へのブレーキがゆるむ傾向があります。
無意識のうちに「自分はすでに十分がんばった」「自分はいい人間だ」という安心感を自己肯定感・道徳的アイデンティティと結びつけ、それを免罪符(ライセンス)として次の誘惑を正当化するのです。
脳の機能・進化的な背景
- 限られた認知資源の節約
- 脳は意思決定や感情制御に大きなエネルギーを要します。一度「いいことをした」という記憶ができると、その後の「悪い行動」は自己正当化で省エネを図ろうとします
- 社会的バランスの調整
- 人間は自分の利益と社会的規範のあいだで常に葛藤します。常に完璧に道徳的であろうとするとストレスが増えすぎるため、時々は自分をゆるす仕組みを備え、精神面の安定を保っているとも考えられます
セルフライセンシングがもたらす落とし穴
習慣形成を阻む
良い行動を継続するうえで、本来なら「積み重ね」が大切です。
しかしセルフライセンシングが働くと「今日は満足だから休もう」と思い、コツコツ続けるべきところで中断してしまいます。
モチベーションが下がる
「もう充分」という意識が過剰になると、翌日の意欲まで削がれてしまう恐れがあります。
少しの努力で満足してしまい、結果的に成長が止まってしまうのです。
小さな成功体験を生かせない
本来なら、成功体験を足掛かりにさらに高い目標へ進むチャンスがあるのに、セルフライセンシングがその流れを途切れさせてしまいます。
自分に厳しく律する vs. 無理しすぎない線引き
自己監視の基準を明確に
「今日何をすれば合格なのか」を数値化すると、自己免罪しにくくなります。
例えば「1日30分の勉強を死守」「1日の総カロリー〇kcal以内」など、明確なラインを設定しましょう。
小さなご褒美は慎重に
達成感を得たら自分をねぎらうことは大事ですが、行き過ぎると逆効果です。
「1時間勉強したら10分の休憩」といった形でルール化すると、甘えを最小限に抑えられます。
本当に疲れているかの見極め
自己対話で「今の疲れは本物か、それとも言い訳か」を問いかける習慣を持ちましょう。
真に休息が必要なときはしっかり休み、ただの甘えと感じたら少し踏ん張る工夫が大切です。
具体的なアクションプラン
「必ずやる行動リスト」を1~2個だけ決める
疲れていても、最低限こなす目標を小さく設定し、それだけは毎日守り抜く。
チェックリストで進捗を可視化
もし自己免罪が発動したら、その日の記録を残し、翌日反省して修正する。
月に1回は完全オフの日を作る
過度にストイックになるとバーンアウトのリスクがあります。
計画的に「何もしない日」を設けてリフレッシュしましょう。
まとめ
セルフライセンシング(自己免罪)は、誰にでも起こり得る自然な心理現象です。
しかし、その誘惑に流されっぱなしでは、折角の努力が台無しになる恐れがあります。
適度に自分を律しつつ、必要なときにはしっかり休む。
そのバランス感覚を身につければ、コツコツ積み重ねる習慣が人生を大きく好転させてくれます。
「小さな成功」にあぐらをかくのではなく、かといって無理をしすぎず、健康と成長を両立させる柔軟さを手に入れましょう。
それでは、今日も1日、最高に楽しく生きましょう!