簡単に得た情報は簡単に失う

「この前調べたのに、また検索してる…」こんな経験、ありませんか?
これは「デジタル健忘症」と呼ばれる現象で、スマホやPCで簡単に情報を得られることで、記憶に定着しにくくなる問題です。
特に、検索エンジンを使ってすぐに答えを見つける習慣がつくと、脳が「覚える必要がない」と判断し、記憶の定着が阻害されることが分かっています。
この現象は「Google効果」とも呼ばれ、スタンフォード大学の研究によると、インターネットを利用することで「知識そのもの」ではなく、「どこで情報を得られるか」を覚えようとする傾向が強まることが示されています。
つまり、“自分で考えて覚える” ことよりも、“すぐ調べられる” ことに頼るようになり、本当の意味での知識にならないのです。
デジタルの利点
もちろん、デジタルの活用が全て悪いわけではありません。
- 天気予報や電車の乗り換え
- 料理のレシピ
- 商品の価格比較
といった、一時的に知るだけでよい情報については、デジタルの力を活用することで生活が便利になり、無駄な記憶負担を減らすことができます。
しかし、問題なのは学びの場面でも「簡単に調べて終わり」という習慣がついてしまうことです。
知識を「検索」するだけではなく、「使う」ことで初めて記憶として定着することを意識する必要があります。
タブレット学習は時代遅れ?
「子どもたちの学びのために」と、タブレットを使った教育がどんどん進んでいますが、実は海外ではタブレット学習の撤退が進んでいることをご存知でしょうか?
ノルウェーやフランスなどの国では、タブレット学習が子どもの脳の発達に悪影響を与える可能性があるため、紙とペンの学習に戻す動きが出てきています。
特に、手書きの学習とデジタル学習では、記憶の定着率が大きく異なることが科学的に証明されています。
オスロ大学の研究では、手書きでノートをとると、脳の前頭前野や海馬がより活発になることが示されています。
これは、紙に書くことで情報を「意味のある形」に整理しながら覚えるプロセスが生まれるためです。
一方、タブレットやキーボードで入力する場合、情報をそのままコピーするだけになり、深い思考につながらないことが分かっています。
つまり、「書く」という行為自体が、学習を助ける大きな役割を果たしているのです。
もしデジタルを活用するなら?
では、「スマホやタブレットは全く使わない方がいいのか?」と言われると、そうではありません。
問題なのは、「楽して情報を得て、それで学んだ気になってしまうこと」です。
デジタルを活用するなら、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 何度も復習する
- 「一度調べて終わり」ではなく、定期的に思い出すことで記憶が定着する
- ただ読むだけでなく、アウトプットする
- 学んだことを人に話したり、ノートにまとめることで理解が深まる
- 受動的ではなく、能動的に活用する
- ただ動画を眺めるのではなく、疑問を持ちながら学ぶことで記憶に残りやすくなる
例えば、動画学習をする場合でも、「視聴後に要点をノートに書き出す」だけで記憶の定着率は格段に上がります。
この「書くことによる学習効果」を意識することが、デジタル時代の学びには不可欠です。
まとめ:簡単に得た情報は簡単に失う
私たちは、スマホやPCのおかげで 「知識にアクセスする能力」は向上しましたが、「本当の意味での知識を蓄える力」は衰えている可能性があります。
検索しただけで「分かった気になる」のではなく、「使う」「書く」「話す」ことで、知識を自分のものにすることが大切です。
「楽に得た情報は、楽に忘れる」
だからこそ、学びの本質である「能動的に関わること」を忘れてはいけません。
それでは、今日も1日、最高に楽しく生きましょう!