育児

負ける経験こそが人を育てる

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子どもとの遊びや競争で、つい大人がわざと負けてあげる。

そんな場面、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

もちろん、それが場を和ませ、子どもを笑顔にする瞬間もあるでしょう。

しかし、私たち大人が本当に子どもの将来を思うなら、「負ける経験」こそが子どもにとっての財産であることを忘れてはなりません。

短期的には「勝てて楽しい!」という気持ちが子どもの自尊心をくすぐるかもしれませんが、それが続けば、子どもは「勝って当然」「負けは許されない」という感覚を持ちかねません。

すると、将来的に挑戦を避けたり、挫折を極度に恐れる傾向が強まる危険性もあるのです。

今回の記事では、あえて本気で勝負することが、なぜ子どもの自己効力感、挫折耐性、そしてフェアプレー精神を育てるのかについて深掘りしていきます。

大人の対応一つで、子どもの心の伸び方はまったく違ってくるのです。

「負ける」ことが心を育てる

幼い頃からゲームやスポーツなどの勝負ごとに触れることは、単なる遊び以上の意味を持ちます。

子どもはその中で「負ける悔しさ」や「勝つ喜び」を知り、感情のコントロール方法や自己理解を深めていきます。

とりわけ「負ける」という体験は、自分の実力を見つめ直し、次にどうすればよいかと考えるきっかけになります。

負けた後に感じる悔しさは、時に涙を伴う強い感情ですが、それを乗り越える過程こそが、他人への共感力や折れにくい心を育てる第一歩となるのです。

逆に、いつも大人が勝たせてばかりだと、子どもは「勝つのが当たり前」という感覚に染まってしまい、自らの工夫や努力をする必要性を感じなくなってしまいます。

さらに「誰かが助けてくれる」という甘えが染みつくと、自力で問題に立ち向かう力が育ちません。

本当の意味で自立した人間になるには、負けの中からこそ学べることがあるのです。

自己効力感とレジリエンスを育てる

「自分ならできる」という信念である自己効力感は、幼い頃からの積み重ねで育ちます。

ただ勝たせてもらって得た成功では、その信念の根は浅く、ほんの少しの失敗でぐらついてしまいます。

真の自己効力感とは、失敗してもなお「もう一度やってみよう」「次はもっと頑張ろう」と思える心の土台から生まれます。

そのためには、小さな負けをいくつも経験し、そのたびに立ち上がる習慣が不可欠なのです。

また、レジリエンス(困難から回復する力)は、負けを繰り返し経験しながら、「失敗しても自分には価値がある」と思えることによって育まれます。

負けたことを否定せず、失敗を冷静に受け止める。

そして次の機会に活かすという前向きな姿勢は、大人になってからのストレス対処力にも直結します。

幼少期に安全な環境で何度も負けを経験させておくことは、人生のどこかで必ず役立つ心の筋トレなのです。

フェアプレーと誠実さを学ぶ

勝負において大切なのは、勝つことそのものではなく「どう勝ったか」「どう負けたか」というプロセスです。

大人が手加減してくれることで得た勝利には、心からの誇りも喜びもありません。

子どもは敏感です。

大人が本気を出していないと感じれば、「自分は本気で向き合ってもらえていない」と寂しさや怒りを覚えるものです。

真剣な勝負の中でこそ、子どもはルールの大切さや、勝者への敬意、そして自分が負けたときの潔さを学ぶことができます。

負けを認めて相手を称える。

勝っても奢らず、負けた相手に敬意を示す。

その積み重ねが、フェアプレー精神を内面に根づかせるのです。

スポーツマンシップとは、結果ではなく「態度」のこと。

子どもと過ごす遊びの時間こそが、その態度を育む最良の教材なのです。

ハンディキャップという選択肢

とはいえ、どんな状況でも大人が本気を出すのが最善とは限りません。

特にまだ競争に慣れていない幼い子や、連敗で気持ちが沈んでいる子にとっては、適切な難易度で勝負を楽しむことが大切です。

そんなときに有効なのが、明確なルールとしてのハンディキャップを設けることです。

ハンディキャップは、ただの手加減とは違い、公正な形で競争のバランスを取る方法です。

私はいつも子ども達とボードゲームをする時には「最初の5秒は見ないようにするね」、「この1番強いコマは使わないね」など、その相手に合った、子どもが納得できる形で工夫を加えて、遊びの中に挑戦と達成の両方を残す様にしています。

そして徐々にハンディを減らしていくことで、子どもは自分の成長を実感し、自己効力感を高めていくことができるのです。

まとめ:「負ける」ことで子どもは強くなる

私たち大人がすべきことは、子どものご機嫌を取ることではなく、自分の気持ちを自分で整える力を育てることです。

その力は、一時的な満足ではなく、悔しさや挑戦の中でこそ育まれます。

負けて泣いた経験がある子は、勝つことの価値も知っています。

何度も挑戦した末にようやく勝てた時の喜びは、自信だけでなく他者への敬意や感謝にもつながります。

そうしたプロセスを経た子どもは、「負けたって大丈夫。自分はまた挑戦できる」と自分自身を信じられる大人へと成長していくのです。

昔から良く言われる「負けるが勝ち」。

それは、目先の勝敗ではなく、一生を支える土台を育む智慧の言葉なのです。

それでは、今日も1日、最高に楽しく生きましょう!

PROFILE
のりたま
のりたま
僧侶兼主夫として働く、三人娘の父親ブロガー
健康的で、SDGsな子育てや、人生の質を向上させる有益な情報を発信します。
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