健康管理

痩せ過ぎは健康に悪いのか?

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先日の健康診断で、医師からこう言われました。

「少し痩せすぎですね。もう少し太った方がいいかもしれませんよ。」

正直、思いました。

「いやいや、好きで痩せてるわけじゃないし、そもそも体調も悪くないんだよ。」

このような善意の忠告に、どこかモヤッとした経験のある方も多いのではないでしょうか。

「痩せている=不健康」「太っている=だらしない」といった一見もっともらしい常識。

私たちは知らず知らずのうちに、そんな図式に縛られていることがあります。

しかし本来、健康とは体重だけで測れるような単純なものではありません。

健康とは、血液データや筋肉量、ホルモンバランス、睡眠の質、疲労感、食欲、集中力、そして何より「自分自身がどう感じているか」などを含めた、立体的で多面的な状態のこと。

たとえBMIが「痩せ」や「太り気味」に分類されたとしても、体の機能が健やかに働いていて、生活の質が高く、本人が快適であれば、それは一つの健康の形なのです。

だからこそ今必要なのは、「標準体重」という一律の型に自分を当てはめて評価するのではなく、「自分にとっての健やかな状態とは何か?」を、もっと丁寧に見つめていく視点ではないでしょうか。

今回の記事では、「痩せすぎ=不健康」という一見もっともらしい常識を見直し、標準体重という型に当てはめることが本当に正しいのかを、医学的・遺伝的・心理的な視点から整理していきます。

そして最後には、「本当に目指すべき体型とは何か?」を、一緒に考えていきましょう。

「痩せすぎ」の定義と科学的な背景

WHOではBMI18.5未満を「痩せすぎ(低体重)」と定義しています。

BMIとは体重(kg) ÷ 身長(m)^2 で計算される指標で、健康状態の目安として広く使われています。

BMIが16.0未満になると、病気のリスクが明確に高まるというデータも存在し、世界的なガイドラインでも「著しい痩せ」と分類されています。

ただし、WHO自身も「この基準はあくまで統計的・便宜的なもの」としており、必ずしもすべての人に当てはまるものではありません。

BMIというのはあくまで「平均的な目安」であって、絶対的な健康の証明ではないという前提を持つことが大切です。

「健康的に痩せている人」は、確かに存在する

遺伝的に太りにくい「憲法性痩せ(Constitutional Thinness)」という体質があります。

この人たちは病気や摂食障害がないにも関わらず、自然にBMIが低めで安定しており、内分泌や代謝、ホルモンバランスも正常です。

女性でも月経があり、筋肉量も保たれ、血液検査も良好というケースも見られます。

また近年のゲノム解析では、太りにくさに関連するALKやGPR75などの遺伝子が発見され、「何を食べても太らない人々」の存在が科学的にも裏付けられ始めています。

つまり、「痩せていても健康」は確かに存在する事実なのです。

そしてそれは異常ではなく、むしろ自然なバリエーションの一つだという視点を持つことで、自分自身の体型に対する理解が深まります。

それでも注意すべき「痩せすぎ」のリスク

一方で、BMIが著しく低い状態が続くと、いくつかの健康リスクも無視できません。

たとえば、骨への負荷が少ないと骨密度の低下を招きやすく、若いうちから将来の骨粗鬆症リスクが高まります。

また、筋肉量が少なくなることで免疫力の低下や、病気からの回復の遅れにもつながります。

特にBMI16未満では、感染症のリスクや死亡リスクが上昇するというデータも複数存在します。

女性ではホルモンバランスの乱れにより、月経異常や妊娠しづらさが顕在化することもあります。

つまり、栄養が足りていても、「身体の貯金」が足りないという状態があり得るのです。

体重だけでなく、骨・筋肉・ホルモンという複数の軸で健康を評価する視点が必要です。

BMIという指標の限界

BMIは脂肪も筋肉も区別せず、あくまで「体重の目安」にすぎません。

筋肉質な人は肥満と判断される一方、脂肪が多くてもBMIが低ければ普通と判定されるケースも存在します。

また、日本人は欧米人よりも同じBMIでも内臓脂肪が多くなりやすく、BMIだけで安全性を判断することはできません。

「BMIがすべてではない」。

これは医学界でも広く認識され始めており、最近ではBMIに加えて体脂肪率や筋肉量、腹囲、生活習慣などを総合的に見ることが標準的な健康評価となりつつあります。

最適体重は「あなたの生活」と「遺伝」と「年齢」で決まる

健康な人の体重は、年齢・性別・生活様式・遺伝によってさまざまに変わります。

例えば、加齢とともに筋肉量が減り代謝も落ちてくる中高年では、やや高めのBMIの方がむしろ健康を保ちやすいという研究もあります。

また、アスリートや筋肉質な人は、標準体重から外れていても極めて健康的で、むしろ自分に合った体重を維持している状態といえるでしょう。

だからこそ「周りと比べる」のではなく、「今の自分に合っているか」を基準に、自分にとっての最適体重を見つけることが重要です。

健康とは「一生続けられる生活の習慣」でできている

「もっと太らなきゃ」と無理に食べ過ぎたり、「痩せなきゃ」と極端な制限をしたりして、かえって体調を崩す人も少なくありません。

でも、本当に大切なのは、何キロという数字よりも、「健康を支える毎日の生活習慣」です。

筋肉を育てる、睡眠をしっかりとる、栄養バランスを整える、ストレスを減らす。

これらを無理なく、長く続けられる形で積み重ねることこそ、結果的にあなたの「本来の健康体型」に導いてくれます。

目の前の数値より、未来の自分のために今できる一歩を考える。

健康とは、そんな地道でやさしい行為の連続なのです。

まとめ:今の自分を軸に考える

⭐️ 標準体重から外れていても健康な人は、確かに存在する

⭐️ BMIは便利だけれど、それだけでは健康を語れない

⭐️ 自分に合った最適体重は、遺伝・体質・年齢・生活習慣で決まる

⭐️ 大切なのは数値合わせより、長く続けられる健康習慣

まずは、今の自分の身体の声を聞いてみること。

体重はあくまで「指標」であって、その奥にある本当の健康は、あなたの生き方と習慣によって育まれるのです。

それでは、今日も1日、最高に楽しく生きましょう!

PROFILE
のりたま
のりたま
僧侶兼主夫として働く、三人娘の父親ブロガー
健康的で、SDGsな子育てや、人生の質を向上させる有益な情報を発信します。
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