【コラム】狩猟採集時代からの人体のメカニズム

ある日、太古の森の中——。
小さな部族の少年カイは、朝から木々の間を駆け回っていた。
彼の使命は、今日の食料を見つけること。
「カイ、川の近くに行ってみろ。魚がいるかもしれないぞ」
そう言われたカイは、迷うことなく走り出した。
森の奥へ進めば進むほど、彼の心はワクワクしていた。
「もっと奥へ行けば、きっともっといい獲物がいるかも!」
カイは知らなかったが、彼の脳内ではドーパミンが大量に分泌されていた。
動き続けることで快感を覚えるように、人間の脳は設計されている。
なぜなら、狩猟採集時代の祖先たちは、じっとしているだけでは生き残れなかったからだ。
動き回れば新しい果実や獲物を発見できる。
だからこそ、探索することに快楽を感じる脳が進化の中で選ばれてきたのだ。
やがてカイは、低い木に赤く熟れたベリーを見つけた。
「これは甘いに違いない!」
一口かじると、口の中に広がる甘さに、さらに夢中になる。
この時、彼の脳ではエンドルフィンが分泌され、強い幸福感を覚えていた。
「もっと食べたい!」
気づけば、彼はそこにあったベリーをすべて食べ尽くしてしまっていた。
それもそのはず。
狩猟採集時代は、次にいつ食べ物にありつけるかわからない。
だからこそ、人間の脳は「目の前にある高カロリーのものはすべて食べる」というプログラムが組み込まれているのだ。
だから、私たちは運動すると気持ちよく、ジャンクフードをやめられない。
数万年前の祖先たちと、今の私たちの脳の仕組みは、ほとんど変わっていない。
運動すると気持ちいいのは、動くことで食べ物を見つけやすくするため
ジャンクフードがやめられないのは、高カロリーを確保することで生存率が上がったから
今ではスーパーに行けば食べ物は簡単に手に入るし、動かなくても生きていける。
けれど、脳の設計はその変化に追いついていない。
だからこそ、意識的に運動することで脳を活性化させることが大事だし、高カロリーの誘惑に負けそうな自分を律する必要があるのだ。
- 運動を習慣化する
- 体を動かせば、ドーパミンが出て頭がスッキリする
- 食べ物の選び方を工夫する
- 本能のままジャンクフードを食べるのではなく、タンパク質や食物繊維が豊富な食材を選ぶ
- 脳のクセを知る
- 「目の前の食べ物をすぐに食べたくなるのは当然」と理解すれば、無理なくコントロールできる
ただの「欲望」だと思っていたものが、実は数万年前の生存戦略の名残だと知ると、動くことで賢くなり、食欲をうまくコントロールしやすくなるのではないでしょうか。
さあ、今日も体を動かして、健康的な食事を心がけて楽しく生きましょう!