【コラム】現状維持バイアス

ある村に、毎朝まったく同じ道を通って狩りに出かける若者カイがいた。
仲間にこう言われる。
「カイ、その道より北の谷のほうが獲物が多いらしいぞ」
カイは答える。
「でもこっちの道のほうが慣れてるし、安全だから」
実はカイ、過去に何度も北の谷を通って失敗したことがあるわけでもない。
ただ、「今のままでいい」と感じていただけだった。
このとき、カイの脳で働いていたのが「現状維持バイアス」という心理の仕組み。
人は新しい選択肢よりも、「今と同じ」を選びがち。理由はシンプル。
そのほうが安全だから。
人間の脳は、変化を「リスク」と判断するクセがある。
たとえ現状がイマイチでも、「未知の未来」より「知ってる不満」のほうを選んでしまう。
現状維持バイアス、こんな場面で顔を出す
- 古くなったスマホや家電、買い替えたいけど「まだ使える…」と先延ばし
- 新しい仕事や習いごとを始めたいけど、「今の生活でいいか」と諦める
- 毎日似たようなルーティン、変えた方がいいと分かっていても動けない
なぜそんなに変わるのが怖いのか?
それは、「変化にはエネルギーが必要」だから。
脳はできるだけエネルギーを使いたくない。
結果として「現状のままでいたい」という強いブレーキをかけてくる。
じゃあどうする?脳のクセを味方にしよう
まずは「変化=不安になるのは当たり前」と知る
→ 不安だからといって、それが悪い選択とは限らない
小さく変えてみる
→ いきなり全部変えようとせず、まずは通勤ルートや朝の習慣を少しだけ変えてみる
一度変えてみて、合わなければ戻ってもいい
→ 「試してみる」くらいの軽さでOK
さて、あなたはどうする?
「今のままでいい」と思っているその気持ち、もしかすると脳のクセかもしれない。
変化は怖い。
でも、そこにこそ成長のチャンスがある。
一歩だけでも、違う道を選んでみよう。